草間彌生展『わが永遠の魂』国立新美術館の展覧会

草間彌生 わが永遠の魂

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日本を代表する前衛芸術家である草間彌生。世界各国で次々と個展を成功させ、2016年「TIME誌」においては「世界で最も影響力がある100人」に選ばれた人物です。そんな彼女の過去最大級の個展「草間彌生 わが永遠の魂」展が六本木の国立新美術館で開催されています。

「前衛の女王」草間彌生とは

1929年長野県松本市に生まれた草間彌生は幼少より幻覚や幻聴に悩まされていました。彼女はそれらから逃れるため、感じ取ったままを絵に昇華することを始めます。1950年代にはニューヨークへ渡り、絵画、彫刻、インスタレーション、映像、小説、詩など多岐に渡る活動を展開します。中でも裸の参加者に水玉のボディペインティングを行う「ハプニング」と称される過激なパフォーマンスは世間の注目を集めます。常に時代の最先端を走る様から1960年代には「前衛の女王」と呼ばれるようになりました。

2017年3月22日に88歳を迎えた草間ですが、創作意欲は今も衰えることはありません。
しかも現在は入院生活を強いられている状況にも関わらず、朝になると病院からアトリエへ出向き夕方まで作品制作。夜になると病院に戻り病床でもキャンバスに向かうそうです。

本展ではシリーズ制作を継続している「わが永遠の魂」を中心に草間の創作活動の軌跡を辿ることができます。

「草間彌生 わが永遠の魂」展の混雑状況

「わが永遠の魂」が並ぶ展示室の様子(撮影可能エリア)

「わが永遠の魂」が並ぶ展示室の様子(撮影可能エリア)

筆者は草間の誕生日である3月22日午前中に訪れました。
既に多くの来場者がいましたが、広い展示スペースも併設されているため、鑑賞に影響が出るほど混雑しているという印象ではありませんでした。また音声ガイドを利用しながら流れに従って鑑賞していくと、2時間30分ほどかかりました。

作品リストは日本語以外に英語・中国語・韓国語が用意され、さらに作品解説のキャプションの一部にはQRコードがついており、読み取ると多言語での解説がでてくるシステムが導入されていました。今回の音声ガイド(レンタル料金:550円)は作品解説の他、草間本人が想いを語り、詩を朗読し、歌います。音声ガイドはヘッドフォンではなく古いタイプ(受話器のように機械に耳にあてる形式)ですが充実の内容でおすすめです。

「草間彌生 わが永遠の魂」展の見どころ

「明日咲く花」

展示作品「明日咲く花」

会場に入ると2014年作の富士山をモチーフにした絵画「生命は限りもなく、宇宙に燃え上がって行く時」が来場客を出迎えます。
その後、奥行き50メートルはあるだろうと思われる広い展示室では「わが永遠の魂」シリーズがずらりと展示されています。順路を進むと草間の幼少期の作品から時代を追うように辿っていき、最後に再び「わが永遠の魂」シリーズが並ぶ展示室に戻ってくる構成になっています。
「わが永遠の魂」シリーズが並ぶ展示室の他、ロビーと野外の作品は写真撮影が可能となっています。

連作「わが永遠の魂」

連作「わが永遠の魂」より(部分)

連作「わが永遠の魂」より(部分)

草間が2009年から取り組んでいる大型の絵画シリーズ「わが永遠の魂」は展覧会のタイトルにもなっている注目作品です。約2メートル四方のキャンバスが約130点並びます。
「アイディアはいくらでもでてくる」という草間の言葉通り、ひとつひとつの作品が濃厚でありながらも同じものはありません。言葉や写真のみでは表せない作品の迫力は是非会場で感じてみてください。

草間彌生の創作の全貌

本展では草間の幼少期の作品から現在に至るまでの作品が揃っています。

幼少期の作品で母親の顔を描いたものは画面が水玉で埋め尽くされており、草間の幻覚が作品へ昇華した始まりを見て取れます。

ニューヨーク時代の作品にはキャンバスに白い絵の具で無数の弧を描いた「No. AB.」や作品の中に無数の男根を取り入れた「トラヴェリング・ライフ」などの世界に衝撃を与えた作品が並びます。
展示では1963年にニューヨークで行われた「集合-1000艘のボートショー」が一部再現されており、過去の個展を垣間見ることができる貴重な機会となっています。

今世紀の作品になると草間作品の代名詞であるドットやかぼちゃなどのポップな作品が並びます。そして現在も制作を続ける「わが永遠の魂」シリーズへ繋がっていくのです。

体験型の草間彌生作品

今回の展示の中には参加型の作品も用意されています。「生命の輝きに満ちて」では鏡貼りの個室の中でLEDライトが光るもので、一歩足を踏み入れると自らも草間作品の中に取り込まれた感覚になります。

ロビーに展示されている作品「オブリタレーションルーム」では会場で配られた丸いシールを来場者が白い部屋に貼り付ける参加型の作品となっています。

前衛アートと美術用語

常に時代の最先端をいく草間作品は芸術の幅も広いため「前衛芸術」という言葉でカテゴライズされています。その中の言葉で草間作品に携わる言葉を一部抜粋してみました。

ミニマルアート

1960年代にアメリカで流行ったミニマルアートは装飾的・説明的な部分をできるだけ削ぎ落とし、シンプルな形と色を使用して表現する単純化された作品です。色面が均一だったり、単純で幾何学的な作品など非個性的なものが多くみられます。今回の展示作品「No. AB.」は1959年に作られており、ミニマルアートが流行する起爆剤になった作品です。

コラージュ

コラージュはフランス語の「糊付け」を意味する言葉で、様々な素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類など)を組み合わせることで、作品を構成する技法です。草間のニューヨーク時代の作品にはコラージュを利用した作品が多く、展示作品「文字の集積」では「YAYOI KUSAMA」と書いた紙がとめどなく貼られ、コラージュの技法とミニマルアートが合致した作品になっています。

ハプニング

ハプニングは、1950年代から1970年代に、ギャラリーや市街地で行われるパフォーマンスアートです。「クサマ・ハプニング」と呼ばれた活動はベトナム戦争への反戦やヒッピームーブメントも伴い、多くの衝撃と共感をもたらしました。

「草間彌生 わが永遠の魂」展 公式グッズ

ポストカード・缶バッチ・マスキングテープ・紅茶缶・てぬぐいを購入

ポストカード・缶バッチ・マスキングテープ・紅茶缶・てぬぐいを購入

グッズは草間のポップなグッズが可愛らしく人気で売り切れも多く出ています。グッズ売り場は混雑必至。レジまでの時間も30分近くかかりました。

主なグッズ一覧

  • 図録(2800円)
  • ポストカード(150円)
  • 大判ポストカード(200円)
  • 超大判ポストカード(300円)
  • ポストカードセット(2300円)
  • クリアファイル(400円)
  • Wポケットクリアファイル(500円)
  • 折り紙(480円)
  • マスキングテープ(440円)
  • メモブロック(860円)
  • トランプ(1080円)
  • 缶バッチ(500円)
  • 紅茶缶(1110円)
  • かりんとう(540円)

「草間彌生 わが永遠の魂」展は国立新美術館 開館10周年記念ということもあり、話題性の高い個展となっています。現在進行形で美術史に生き様を刻み続ける草間彌生の作品を見れる大規模なチャンスです。多くの人に足を運んでいただきたい展覧会となっています。

「草間彌生 わが永遠の魂」展 チケット / 基本情報

開催期間:2017年2月22日(水)~2017年5月22日(月)
開館時間:10:00-18:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで
※4月29日(土)~5月7日(日)は毎日20:00まで開館
休館日:毎週火曜日  ※5月2日(火)は開館
会場:国立新美術館 企画展示室1E

観覧料
当日券 前売り券 団体券
一般 1,600円 1,400円 1,400円
大学生 1,200円 1,000円 1,000円
高校生 800円 600円 600円

公式サイト
http://kusama2017.jp/

おまけ / 記念カード

草間彌生の誕生日記念カード

草間彌生の誕生日記念カード

3月22日は草間彌生の誕生日ということで先着6000名に記念カードを配布していました。草間さん、おめでとうございます!ますますのご活躍、楽しみにしています!