近年、滋賀県の寺院にて安置されている仏像が続々と東京の美術館へお越しになっています。東京藝術大学大学美術館では「観音の里の祈りとくらし展」、東京国立博物館では「平安の秘仏展」として展覧会が開催され、後者においては櫟野寺(らくやじ)所蔵の重要文化財で秘仏の十一面観音菩薩坐像がお目見えし、仏像ブームの火つけ役でもあるみうらじゅん氏、いとうせいこう氏によるグッズ監修なども手伝って大きな話題となりました。
特に長浜市は「観音の里」と呼ばれるほど観音信仰が厚く、市内には130体を超える観音像があり、造形美なものはもちろん、戦国時代や廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)を潜り抜けた歴史あるもの、異形ともいえる正妙寺の千手千足観音など、京都や奈良とは趣の異なる仏像が多数存在しています。そんな魅力あふれる長浜の観音様に、いつでも会える場所が東京にもあるのです。
不忍池のほとりの観音様。
場所は上野恩賜公園にある不忍池のほとり、京成線の池之端口からすぐ、アパホテルときぬやホテルの間にひっそりと存在します。
その名も「びわ湖長浜 KANNON HOUSE 」。
不忍池は寛永寺の開祖である天海が不忍池を琵琶湖に見立て、長浜の竹生島になぞらえて弁天島を築かせたということもあり、上野と長浜市は何かと縁のある町なのです。
「びわ湖長浜 KANNON HOUSE」は長浜の本物の観音様に会える場所をコンセプトとした地方自治体が運営する観光施設です。施設内は長浜からお越しの観音像(筆者が知る限り常設は1体)展示をメインとする設計になっており、とても落ち着いた空間になっています。ガラス越しではありますが360度、間近で鑑賞できるのも魅力です。
2017年1月29日までは横山神社の馬頭観音が展示されています。剥き出した歯と頭の馬、平安~鎌倉時代の作品で三面八臂の独特のフォルムは実に個性的です。最終日(29日)にはコンサートイベントもあるそうです。また、2017年1月31日からは高月町片山より十一面観音立像がお越しになる予定です。このように定期的な展示替えが行われるので、何度も足を運びたくなります。
金曜日の夜はライティングイベントを開催
毎週金曜日17時からはスペシャルライティングと称して、施設内の照明を落とし観音様を柔らかい光でライトアップするイベントが行われています。より幻想的な御姿を鑑賞できるのでおすすめです。都会の喧騒にいながら、観音様そして自分と向き合ってみるのはいかがでしょうか。
上述の通り、びわ湖長浜 KANNON HOUSEは観光施設でもありますので長浜市で開催されるイベント情報も確認することができます。筆者もいつか現地長浜まで行って寺院めぐりをしたいと思います!
びわ湖長浜 KANNON HOUSE / 基本情報
場所:東京都台東区上野2丁目14番27号上野ファーストビル1F【地図】
開館時間:10:00~18:00(入場無料)
休館日 :毎週月曜日(月曜祝日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
「びわ湖長浜 KANNON HOUSE」公式サイト
http://www.nagahama-kannon-house.jp/