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台東区上野にある「東京藝術大学」はアーネストフェノロサと岡倉天心が中心に設立した学校で、横山大観、藤田嗣治、下村観山、青木繁、菱田春草、平山郁夫など名だたる芸術家たちの出身校でもあります。近年では「五百羅漢図展」で話題となった現代アートの巨匠、村上隆さんも東京藝術大学のご出身です。
また、藝大生の妻を持つ著者が完全素人の視点で美大を観察したルポルタージュ「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」が昨年ベストセラーとなり改めて東京藝術大学が注目されています。
筆者にとって上野・谷中付近は居住区内で、東京藝術大学大学美術館へは度々足を運びますが、藝大キャンパスについては外から眺める程度。ましてや現役藝大生の作品を目にすることは叶いませんでした。しかしSNSを通じて「芸術学科1年進級展」が行われることを知り今回観覧させていただくことにしました。
「進級展」とはその名の通り進級に関わる関門で、学年末に作品の制作・展示を行い、教員の審査もあるそうです。本件は一般公開(入場無料)もしているので東京藝大入試を考えている方にも、参考となる展覧会だと思います。
いざ魅惑の藝大キャンパスへ!
「芸術学科1年進級展」は中央棟の2階で開催されています。
アトリエを兼ねた展示室へ入ると学生たちの賑やかな声が聞こえてきました。
藝大生「ヤバイ!ヤバイ!」
筆 者「(そんなに凄い作品があるのか…)」
藝大生「煙出てる!どうしよう!早く!蓋!このまま喫煙所持っていく!」
筆 者「煙から斎藤工!?空前絶後のォォ!!!!超絶怒濤のセクs」
どうやら作品に関連した綿菓子製造機に不具合があったようで、学生たちが慌てて展示室から出ていきました。
綿菓子の甘い匂いが充満する中、一人ぼんやりと観覧を初めました。
いずれも個性あふれる作品ばかり!展示は一部購入可能な作品も
展示室は多種多様な芸術作品であふれています。写真や絵画、モビールにテントなど、ちょっとした飾り一つ取ってもデザイン性に富んでいます。各展示には作者の名刺が添えられており、ご本人に連絡すれば購入可能な作品もあるそうです。
作品「こころの晴れ模様」は実際に中へ入ることができ、まるで絵本の主人公のような気分に。
展示の中でも「藝大レンジャー第一回会議」という企画作品が一際目を引きました。藝大生がSNSアプリ「LINE」のグループ機能を使って「平和」をテーマに議論している様子(スクリーンショット)が印刷・展示されています。本筋のテーマから次第に芸術の話へと脱線していく様子や、ソーシャル+美大生+紙という構図がとても斬新でした。
モビールの先に吊り下げられている作品は「お気持ち」を納めることで一部を持ち帰ることが可能です。
「お気持ち」を納めて作品を頂戴したところ、作者の方も喜んでくださり、筆者自身も藝大生の可能性と素晴らしい作品を目の当たりにし、今後も若き芸術家の応援が出来ればと改めて思いました。
「進級展」短い会期ですがみなさまも是非、足を運んでみてください!※そのほか卒業・修了作品展が別会期で行われるそうです。
《出展作品》
- 『心の晴れ模様』小山このか
- 『 自画像(私は私に板を附す 我が独断として)』近藤銀河
- 『無限ナ/真我/ノ浮遊(高橋たか子著 『誘惑者』より着想)』飯沼葵
- 『藝大レンジャー』企画︰小山このか(ピンクホワイト)編集︰根本理香(ブルー)
- 『戀』山野井千晶
- 『今夜は御馳走』近藤真帆
- 『散り紅葉』井上茉優
- 『Faust挿画』加川日向子
- 『雲のわたあめ屋さん』小山このか
東京藝大 芸術学科1年進級展(入場無料)
場所:東京藝術大学美術学部 上野校地 中央棟2F 芸術学科油画アトリエ
会期:1月23日(月)~27日(金)
時間:9:00 -17: 00
関連情報
「藝大レンジャー」ウェブサイト
http://gothelsa.wixsite.com/geidaiheroes
第65回 東京藝術大学卒業・修了作品展(入場無料)
場所:東京都美術館・大学構内、大学美術館
会期:2017年1月26日(木)-1月31日(火)
時間:9時30分-17時30分(入館は17時まで)
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2016/sotsuten2016/sotsuten2016_ja.htm